プラダの店頭で初めて立ち止まる場所は、だいたい決まっています。ガレリア、リナイロン、クレオが頭の中で並んで浮かんで、ぱっと見ると同じラインの変奏のように感じられる。
でも実は、出発点がかなり違うんです。
三つのバッグはそれぞれ別の時期に、まったく別の問いに答えるために作られました。似た選択肢として扱って一点だけ選ぶと、三度目、四度目に持ったあたりから、なんとなく合わない感じが出てきます。クローゼットの中で果たす役割が、最初から別なんです。
いちばんシンプルに言うとこうです。ガレリアはサフィアーノレザーで整えられたトップハンドル、リナイロンは再生ナイロンで組み直された軽くて実用的なライン、クレオは1990年代のプラダ・アーカイブから形を引き出して曲線で整え直したショルダーバッグです。この違いを先に知っておくと、選択がずいぶん楽になります。
三つのバッグはどこから来たのか
ガレリア(Galleria)は2007年にミウッチャ・プラダが発表したバッグです([Handbag History: The Prada Galleria, PurseBlog](https://www.purseblog.com/prada/handbag-history-the-prada-galleria/))。名前は、ミウッチャの祖父マリオ・プラダが1913年に最初の店を開いたミラノのガッレリア・ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世から取られています。レザーは、マリオ・プラダが特許を取得したサフィアーノ。表面にクロスハッチ加工を施した、傷と水に強いカーフスキンです。内部は二つのジップ・コンパートメントと中央のオープン・コンパートメントによる「三つのポケット」構造になっています。
リナイロン(Re-Nylon)が登場したのは、それよりずっと後の2019年。1984年にミウッチャが軍用テント素材ポコノ(Pocone)で仕立てたナイロン・バックパック(Vela)が、プラダを若い世代の日常的なブランドへと押し上げた流れがあって、その同じシルエットを再生素材で組み直すプロジェクトです([Prada Re-Nylon, Prada Group](https://www.pradagroup.com/en/sustainability/environment-csr/prada-re-nylon.html))。素材はAquafilが製造するECONYLです。埋め立て地や海から回収したプラスチックを分解し、再生ナイロンとして紡ぎ直した糸です。最初のコレクションはベルトバッグ、ショルダーバッグ、トート、ダッフル、二種類のバックパックという六つのクラシックなシルエットで始まり、プラダは2021年末までにすべてのバージン・ナイロンを再生ナイロンに置き換えるという目標を発表しました([Re-Nylon Project, Prada Group](https://www.pradagroup.com/en/news-media/press-releases-documents/2019/10-06-24-re-nylon-project.html))。
クレオ(Cleo)は三つの中でいちばん新しいバッグです。2020年7月、ミウッチャ・プラダの最後の単独ショーとなった*Multiple Views SS21*で初めて公開され、そのまま2021年春夏コレクションの一部として正式に登場しました([Multiple Views SS21, Prada Group](https://www.pradagroup.com/en/news-media/press-releases-documents/2020/20-07-14-prada-multiple-views-ss21.html))。デザイン自体は1990年代のプラダ・アーカイブから引き出された、底とサイドが丸く仕上げられた曲線のショルダーバッグで、表面は*スパッツォラート*(ブラッシュド・カーフスキン)で仕上げられることが多いです([Prada Cleo, PurseBlog](https://www.purseblog.com/prada/prada-cleo/))。同じ年にラフ・シモンズがミウッチャと共同クリエイティブ・ディレクターに就任していますが、クレオの初公開はミウッチャ単独のショーだったという点はよく誤って記憶される部分です。
三つのバッグ、三つの違う問題。ガレリアは時間とともに日常まで降りてきた正統トップハンドル、リナイロンはクラシックなナイロンバッグを責任ある形で作り直したライン、クレオはアーカイブのシルエットを再び取り出して曲線で整え直したモダンなショルダーバッグです。
ガレリア、ゆっくり馴染んでいく整った形のトップハンドル
ガレリアはクローゼットの中でかなり特定の位置を占めます。ふだんのバッグの中ではいちばん整った側、台形に整えられたボディ、短いトップハンドルが二本、取り外し可能なショルダーストラップが特徴です。サフィアーノレザーのクロスハッチ加工のおかげで傷と水に強く、形そのものが崩れにくい構造です([Handbag History: The Prada Galleria, PurseBlog](https://www.purseblog.com/prada/handbag-history-the-prada-galleria/))。
自然に合うのは、テーラードのコート、ミディ丈のワンピース、シャツとトラウザー。一方で、最初の選択にはなりにくい場面が二つあります。
- **週末のカジュアル。** きちんとしたトップハンドルがTシャツとデニムの上では少し過剰に見えます。
- **ノートPCを毎日運ぶ通勤。** ミディアムサイズに13インチのノートPCが入ることはありますが、厚みが扱いにくく、毎日持つとサフィアーノの角が摩耗しやすい。
Chexlowでよく目にするガレリアは、たいていミディアムとスモールの二サイズ、カラーはブラックとヌード系が中心です。柔らかいバッグやトートはあるけれど、きっちりしたトップハンドルが抜けているクローゼットなら、その隙間を埋めてくれます。すでに小さめの構築型バッグを持っているなら、ガレリアは同じ位置の重複ではなく、その一段上として機能します。
ひとつ知っておくと良いのは、最初のガレリアとしてもっとも頻繁に勧められるのがミディアムサイズだということ。A5のノートと小さなポーチが無理なく収まり、スモールよりも日常での活用範囲がはっきり広い。
Housnapで現在のgalleria候補を見るリナイロン、毎日持てる軽さの上に乗ったもうひとつの物語
リナイロンはちょうど反対の組み方で作られています。最初のブリーフは明快でした。1984年のVelaナイロン・バックパックがプラダを一世代の日常ブランドに変えたのと同じ軽さと丈夫さを保ちながら、バージン・ナイロンではなく再生素材で組み直すプロジェクトです([Prada Re-Nylon, Prada Group](https://www.pradagroup.com/en/sustainability/environment-csr/prada-re-nylon.html))。
構造で見ると、リナイロンはECONYLという再生ナイロン糸で織られています。Aquafilが、埋め立て地や海から回収したプラスチックを分解し、新しい糸として再び紡ぎ直したものです。重要なのは、品質を落とさず無限にリサイクルできる点([Re-Nylon Project, Prada Group](https://www.pradagroup.com/en/news-media/press-releases-documents/2019/10-06-24-re-nylon-project.html))。プラダはECONYLを使うことでバージン・ナイロンと比べて地球温暖化への影響を最大80%減らせるとし、2021年末までにバージン・ナイロンの使用を終了する目標を併せて発表しました。
これを知っておくと選びやすくなります。クローゼットの中でリナイロンは、よくできたデイリートートやバックパック、メッセンジャーのように自然に馴染みます。軽くて、水に強くて、カジュアルにもきちんとした服装にも違和感なく合わせられます。遠くから「プラダ」と読ませるのは、上に乗った三角形の金属ロゴです。
ガレリアのような整ったバッグがすでにあるクローゼットなら、リナイロンは重複ではなく、毎日持てる位置を埋める一点になります。革のバッグ中心のクローゼットなら、リナイロンはカテゴリーを増やす存在で、色と重さの違う質感をローテーションに加える役割を持ちます。
最初のリナイロンとしてよく勧められるのはショルダーバッグかベルトバッグです。日常に取り入れやすく、同じライン内でサイズと形のバリエーションが豊富なので、二点目への流れも自然です。
Housnapで現在のre nylon候補を見るクレオ、アーカイブから取り出して整え直されたモダンなショルダーバッグ
クレオは三つの中でいちばん持ちやすく、視覚的な個性がいちばんはっきりしたバッグです。1990年代のプラダ・アーカイブから引き出された曲線のショルダーバッグを、底とサイドを丸く整えてスリックなシルエットにし直したものです([Prada Cleo, PurseBlog](https://www.purseblog.com/prada/prada-cleo/))。表面は*スパッツォラート*と呼ばれるブラッシュド・カーフスキンで仕上げられることが多く、マットなツヤがクレオの印象を大きく決めています。
2020年7月の*Multiple Views SS21*ショーで初めて公開され、2021年春夏コレクションの一部として正式に登場しました([Multiple Views SS21, Prada Group](https://www.pradagroup.com/en/news-media/press-releases-documents/2020/20-07-14-prada-multiple-views-ss21.html))。同じ年にラフ・シモンズがミウッチャ・プラダと共同クリエイティブ・ディレクターに就任した時期と重なりますが、クレオ自体の初登場はミウッチャ単独のショーでした。
クレオが他の二つよりよく合う場面が二つあります。
- **夜の予定や外出。** 曲線のシルエットが腕にきれいに収まり、テーラードやミニマルな着こなしとひと組みで決まります。
- **写真の多い場面。** マットなツヤと整った線が、三つの中で視覚的にもっとも強い表情を作ります。
逆に弱い場面はこの二つ。
- **ノートPCを持ち歩く平日。** サイズと形がデイリーバッグのように荷物を受け止める構造ではありません。
- **頻繁にバッグを放り置く使い方。** ブラッシュド・カーフスキンは角の擦れが他の二つより早く出ます。
ふだんのクローゼットがモダンまたはミニマル寄りなら、最初のプラダとしてはじつはクレオがいちばん正直な選択になることが多い。クローゼットの残りをきちんとした方向へ寄せる必要がなく、一点で印象の大部分を担えるバッグです。
Housnapで現在のcleo候補を見る一シーズンずつ持ち比べると見えてくること
三つのバッグを一シーズンずつ交互に持ってみると、最初はよく似て見えた違いがかなりはっきり残ります。
- **持ち姿。** ガレリアは手に持つか肘の内側にかけ、リナイロンは肩にかけるかクロスボディで持ち、クレオは脇下にきれいに収まります。同じ動作を取り合う関係ではありません。
- **メンテナンス。** ガレリアのサフィアーノは傷に強い一方、角の鋭さは手の触れる回数とともに少しずつ和らぎます。リナイロンは日常使いをいちばん受け止めやすく、水のシミもほとんど目立ちません。クレオのブラッシュド・カーフスキンは角のスレが最初に出ます。
- **リセール。** ガレリアはクラシック・トップハンドル領域で安定した中古市場を持っています。リナイロンはサイズとカラーのバリエーションが豊富で回転が早めです。クレオは比較的新しいので二次市場の厚みはまだガレリアほどではありませんが、認知は急速に積み上がっています。
では、どれを先に選ぶか
結局、問いはひとつです。いまのクローゼットで本当に空いているのはどの位置か。
- きちんとしたトップハンドルがなく、テーラードのコートやシャツの多いクローゼットなら **ガレリアが最初の一点**。
- 軽くて実用的な毎日のバッグが抜けているなら **リナイロンが最初の一点**。
- モダンまたはミニマルなクローゼットに、ひと組みで決まる一点を加えたいなら **クレオが最初の一点**。
最初のプラダ選びでつまずく理由は、たいてい一点に三つの役割を背負わせようとすることです。そこはなかなかうまくいきません。最終的に複数を持つようになる人は、たいていクローゼットの大きな空きを埋めるバッグから先に選び、一、二シーズン経って次の一点を加えていきます。
Sources
- [Handbag History: The Prada Galleria, PurseBlog](https://www.purseblog.com/prada/handbag-history-the-prada-galleria/):2007年発表、サフィアーノレザー、ガッレリア・ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世の語源
- [Prada Re-Nylon, Prada Group](https://www.pradagroup.com/en/sustainability/environment-csr/prada-re-nylon.html):2019年ローンチ、Aquafilとの提携、ECONYL再生ナイロン
- [Re-Nylon Project, Prada Group](https://www.pradagroup.com/en/news-media/press-releases-documents/2019/10-06-24-re-nylon-project.html):六つの初期クラシック・シルエット、2021年末バージン・ナイロン全廃目標
- [Multiple Views SS21, Prada Group](https://www.pradagroup.com/en/news-media/press-releases-documents/2020/20-07-14-prada-multiple-views-ss21.html):2020年7月のミウッチャ・プラダ単独ショー、クレオ初公開の文脈
- [Prada Cleo, PurseBlog](https://www.purseblog.com/prada/prada-cleo/):1990年代アーカイブの再解釈、スパッツォラート仕上げ、曲線シルエット
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最初のプラダとしてガレリア、リナイロン、クレオのどれを選ぶべきかという質問が繰り返し届いていました。三つのラインの背景は、PurseBlogの[Galleriaの歴史](https://www.purseblog.com/prada/handbag-history-the-prada-galleria/)、Prada Groupが公開している[Re-Nylonのサステナビリティ資料](https://www.pradagroup.com/en/sustainability/environment-csr/prada-re-nylon.html)と[2019年のローンチリリース](https://www.pradagroup.com/en/news-media/press-releases-documents/2019/10-06-24-re-nylon-project.html)、そして[Multiple Views SS21の資料](https://www.pradagroup.com/en/news-media/press-releases-documents/2020/20-07-14-prada-multiple-views-ss21.html)とPurseBlogの[Cleo紹介](https://www.purseblog.com/prada/prada-cleo/)を突き合わせて整理し、その出典は本文末のSourcesに記しています。本文中の提案はChexlowが現在扱うプラダの範囲に限っており、読者が実際に検討できる現実的な選択肢に沿っています。
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